「人魚の財布」とも呼ばれるこの白い物体の正体はナヌカザメの卵殻です。
大きさはおよそ手の平くらい。
水深20m程のところで見つけました。

この日は浮遊物が多く水平の透視度は5m程度。
回遊する生物も殆ど見えず、撮影をあきらめていた時のことでした。
浮遊物の反射を避けるためワイド端で近接撮影をしています。
それにしても、よくこんな場所に産卵できたものと感心しますね。 なんと器用にもイソバナの枝の隙間に挿入されています。
潮流で流されてしまわないのでしょうか。他人事(いや、サメ事)ながら心配になってしまいます。


さらに接近してみると殻の中に卵黄があるのが確認できますが、まだ魚の形は見えません。
そして、驚いた事に卵殻は蔓状のもので枝に固定されています。
これなら潮流に流されることはなさそうですが、まさに驚異的な技ですね。
( 下右図は左図の一部トリミング )



ナヌカザメは冬季の浅場で産卵し、卵はおよそ1年で孵化するそうです。
ハッチアウトまでのこれから1年間、定期的に観察できれば良いなと思いますが果たして実現できるかどうか。
願わくばハッチアウトの瞬間に立ち会いたいものです。



 これが「ナヌカザメ」です。
体長1.2mくらい有ったでしょうか。
産卵場所の直ぐ近くにいたので、多分生みの親ではないかと思います。
習性はおとなしく、このように水底にじっとしていることが多いようです。
真上から撮影していますので分かり難いですが、岩と岩の隙間に頭から突っ込む 様にしていました。
そのため全身が撮れるのはこの位置だけ。
浮遊物が非常に多かったのでフラッシュの光量を落として撮影しているため体色ははっきりしませんが、特徴である 茶褐色の斑紋は見分けられます。






 これも同じくナヌカザメの卵です。
上の卵の直ぐ近くにありました。
卵は2個ずつ産むそうなので同じ親が産んだものでしょうか。
露出オーバーのためディティールが掴めませんが、上の卵殻の凝り様に比べて随分と無防備な感じがします。
疲れてしまったのかな?
ほかの魚のエサにならなければよいのですが。
これら2つの卵、これから1年無事に育ち元気にハッチアウトする事を祈っています。


Data : Nikon E5000+E68 / 7.1(19)mm / SB-102


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